ハクビシンは「ネコ目ジャコウネコ科」の動物です。昔から「神様の使い」とも呼ばれ、縁起のいい動物とされる反面、人家への侵入やふん害、農作物への食害も後を絶ちません。
高い運動能力と優れたバランス感覚を持ち合わせていますが、木から木へ飛び移るのは苦手なようです。
外見的特徴
- 目の下と耳元の白い波紋
- 鼻から額にかけて伸びる白い筋
- 灰色がかった長い胴体
- 太く長いしっぽ
- 手足と尻尾の先の黒い毛色
体長・体重
【一般的な成獣のハクビシン】
- 体長約90~110センチ
- 体重約4キロ
寿命
10~20年
分布
日本では北海道、沖縄以外の地域で分布が確認されています。九州地方にはハクビシンは生息していないと言われていましたが、近年目撃情報が徐々に増えていることから、さらに分布が拡大していると考えられます。昭和20年代の日本ではハクビシンは今日のように全国的に分布しておらず、主に四国地方・東海地方・東北地方に分布していたとされています。
日本以外では中国南部・台湾・インド・東南アジアなど、温暖な気候のアジア諸国を中心に分布しています。
ハクビシンは外来種?
ハクビシンが外来種か在来種かについては以下の説がありますが、いまだに断定されていません。
外来種説
- 日本ではジャコウネコ科の動物の化石が発見されていない
- 江戸時代と戦時中にハクビシンが持ち込まれた記録がある
- ハクビシンが分布していたとされる地域が連続していない
在来種説
- 日本と海外のハクビシンでは頭骨の計測値や形態学の特徴が異なる
- 江戸時代の書物にハクビシンによく似た「雷獣」という妖怪が描かれている
繁殖
- 繁殖期 3〜12月
- 妊娠期間 約2か月間
- 1回の分娩数 1〜5頭
ハクビシンは生後約10か月で成獣の身体となり、繁殖が可能になります。短い妊娠期間で年中繁殖が可能、かつ成長速度が早いため、個体数は年々増加しています。
性格
ハクビシンは人や動物を見かけるとすぐさま逃げ出す、警戒心がとても強く臆病な性格です。しかし、危機を感じると威嚇や攻撃をする凶暴な一面も持ちあわせています。
普段は人家の天井裏やほら穴などを寝ぐらにして静かに暮らし、突然人や動物を襲うことはほとんどありませんが、まれにえさや縄張りを争って猫やアライグマ、ハクビシン同士でけんかすることがあります。出産時期や子連れ時、発情期にも凶暴さが増すこともあるので、見かけても近づかないよう注意しましょう。
ハクビシンの子供は警戒心が弱く人に近寄ってくることがありますが、近くに親がいる可能性があるため近づかないでください。
天敵
ハクビシンの天敵は、アライグマが代表的です。山間部ではふくろうなどの猛禽(もうきん)類も天敵となります。
生活
ハクビシンは夜行性で、日中は寝ぐらにいることが多いです。臆病な性格なので、隠れられる場所を好んで寝ぐらにします。人家の天井裏・壁の中・倉庫・ほら穴・木陰などいくつかの寝ぐらがあり、転々としながら生活しています。また、ハクビシンは環境への適応能力が高く、山間部・市街地・都市部などさまざまな場所に生息しています。
食べもの
ハクビシンは木登りが得意なので、油断していると簡単に食べられてしまいます。基本的に雑食ですが、主に以下の食べ物を好みます。
- くだもの全般(特にぶどう・桃・みかん・いちご・柿など)
- 野菜(特にとうもろこし・トマト・すいかなど)
- 家庭の生ごみ
- ドッグフードまたはキャットフード
- 昆虫
- 鳥類
鳴き声
普段ハクビシンは鳴きませんが、ケンカをしているときは「キーキー」という鳥のような甲高い鳴き声を上げます。夜中に外で「キーキー」「キャッキャッ」と聞こえたとき、多くはハクビシン同士がケンカをしています。
また、身の危険を感じて威嚇しているときは「ウー」と唸り、「ガァッ」というような声を上げます。詳細はハクビシンの鳴き声の記事で紹介しています。