ハクビシンは害獣である一方でかわいらしい見かけをしているため、ペットとして飼いたいと考える人もいるかもしれません。
結論から言うと、ハクビシンをペットにすることはほぼ不可能です。
また、ハクビシンは感染症を媒介するおそれのある動物として輸入が禁止されていることもあり、ペットショップでも販売されていません。
ハクビシンの飼育が現実的ではない理由
1.無許可での捕獲・飼育が禁止されている
ハクビシンは鳥獣保護法(鳥獣保護管理法)の対象であり、狩猟や有害鳥獣捕獲許可を得た場合を除いて捕獲が禁じられています。
また、有害鳥獣捕獲許可を得た人が捕獲したハクビシンを飼育したいと考えたとき、自治体に飼育許可を得る必要があります。ハクビシンによる生活被害は年々深刻化しているため、可能性は低いですが親とはぐれてしまった幼獣や病気やけがをしている個体のみ「保護」という形で飼育を許可されることもあります。
人家の庭に侵入してきたハクビシンは原則として追い払わなくてはなりません。農作物への食害や家屋の汚損・破損など、生活被害を発生させている個体以外はむやみに捕獲してはいけません。
2.飼育自体の難しさ
そもそもハクビシンは飼育が難しく、ペットに向かない動物です。雑食のためえさに困ることはありませんが、飼育にまつわる知識が乏しく、犬や猫のように人間になつく可能性も低いためしつけは困難です。
また、ハクビシンは高い場所でフン尿をする習性があるため家屋の汚損や感染症の危険性もあります。
野生のハクビシンの寿命は10年ほど、飼育下では15~20年ほど生きると言われています。
3.感染症の危険性
前述の通り、ハクビシンは重症急性呼吸器症候群(SARS)という感染症を媒介するおそれのある動物として輸入が禁止されています。SARSのほかにも疥癬(かいせん)、トキソプラズマ、レプトスピラ症、サルモネラ症、E型肝炎、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などといった感染症を媒介します。
また、ハクビシンはダニを保有しているため、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にかかるおそれもあります。