ハクビシンは日本全国の市街地や農村部に生息する害獣です。しばしば人間の生活に不都合を起こしますが、夜行性のため被害にあってもなかなか正体を特定できないことがあります。
そこで、一つの判断材料となるのが足跡です。似た足跡の動物も多く完璧に見分けることは難しいですが、フンなど他の要素とあわせて考えればより正確に判断できます。
この記事では、ハクビシンの足跡の特徴や他の動物との見分け方について解説します。足跡の正体がハクビシンだと分かったら早めに対処しましょう。
ハクビシンの足跡の特徴
前足 | 後足 |
---|---|
長さ / 約5センチ 幅 / 約4.5センチ | 長さ / 約10センチ 幅 / 約4センチ |
丸い形、足跡全体に対して大きい | 縦長、人間の足と似た形 |
ハクビシンは、後足の足跡が前足の足跡よりも2倍近く大きいという特徴があります。その理由は、前足は半分かかとを上げて歩く「指行性(しこうせい)」、後足はかかとを地面につけて歩く「蹠行性(しょこうせい)」という歩き方にあります。
ハクビシンの足跡の形は前足と後足で異なります。前足裏の中央にある肉球が人間の手のひらにあたる部分で、足跡全体に対して大きく、丸い形をしています。ハクビシンの足の中央には横方向に筋が入っていて、人間の手のように折り曲げることができます。
後足裏の中央にある肉球は人間の足の裏にあたる部分です。足全体に対して大きく、縦長で人間の足と似た形をしています。
ハクビシンは5本指で短く、指先は丸まっています。付け根あたりから内側に指を折り曲げることができ、物をつかむのに適した形状をしています。
画像の一番右が親指、一番左が小指です。後足の足跡は人差し指と中指がくっついていることもよくあります。
ハクビシンは必要なときだけ爪を出し、通常は爪をしまっています。そのため、爪痕もつかないことが多いです。
ハクビシンの足跡を見かけやすい場所
ハクビシンは冬眠せず、寒い冬でも雪の上を歩いて活動します。複数のねぐらを持ち転々と暮らすため、雪の上で足跡が見つかることがよくあります。
ハクビシンは柑橘類やとうもろこしなどの農作物を好んで食べます。そのため、エサを求めて畑や田んぼを歩いた際に土に足跡がついたり、果樹など木に登る際に根本に足跡がついたりすることがあります。
高所に登ることが得意なハクビシンは、外敵の目につきにくく、外気をしのげて暖かい家の屋根裏や壁の中などを好んでねぐらにします。家に侵入する際に壁や柱を登ったり、屋根の上を歩いたりするため足跡がつきます。
ハクビシンは神社やお寺に侵入し、ねぐらにすることがよくあります。神社やお寺は建物自体が比較的古く、侵入口が多いことが理由だと考えられています。侵入する際に柱や壁を登ったり、屋根の上を歩いたりするため足跡がつきます。
ねぐらやエサ場までの道中にある、市街地の陸橋などの手すりでハクビシンの足跡が見つかることがあります。
ハクビシンと他の動物の足跡の比較
ハクビシンの足跡はしばしば他の野生動物の足跡と間違われます。
下に間違われやすい動物の足跡をまとめました。見分ける際の参考にしてください。
最もわかりやすい特徴の「指の本数」から確認しよう
大きさ | 【前足】 幅 / 約4.5センチ 長さ / 約5センチ 【後足】 幅 / 約4センチ 長さ / 約10センチ |
手のひら部分(前足) | 丸い形、足跡全体に対して大きい |
足の裏(後足) | 縦長、人間の足と似た形 |
指 | 5本、足跡に対して大きい |
爪 | 爪痕はつかない |
大きさ | 幅 / 3〜4センチ 長さ / 3〜4センチ |
手のひら部分(前足) | にんにくのような三角形 |
指 | 4本、指同士が離れている |
爪 | 爪痕はつかない |
大きさ | 幅 / 約3センチ 長さ / 3〜4センチ |
手のひら部分(前足) | にんにくのような三角形 |
指 | 4本、足跡に対して大きい |
爪 | 爪痕がつく |
大きさ | 【前足】 幅 / 約6センチ 長さ / 約5センチ 【後足】 幅 / 5〜6センチ 長さ / 7〜8センチ |
手のひら部分(前足) | もみじ型 |
足の裏(前足) | もみじ型、人間の足に似ている |
指 | 5本、長い |
爪 | 爪痕がつく |
大きさ | 幅 / 2〜3センチ 長さ / 2〜3センチ |
手のひら部分(前足) | いびつな三角形 |
指 | 5本 |
爪 | 指と離れた位置に爪痕がつく |
大きさ | 【前足】 幅 / 3〜4センチ 長さ / 3〜4センチ 【後足】 幅 / 3〜4センチ 長さ / 4〜5センチ |
手のひら部分(前足) | いびつな三角形 |
指 | 5本 |
爪 | 指と離れた位置に爪痕がつく |
大きさ | 幅 / 約5センチ 長さ / 6〜7センチ |
手のひら部分(前足) | 横長、大きめ |
指 | 5本、太い |
爪 | 長い爪痕がつく |
大きさ | 幅 / 約6センチ 長さ / 6〜7センチ |
手のひら部分(前足) | 丸みのあるひし形 |
指 | 4本、足跡に対して大きい |
爪 | 爪痕がつく |
ハクビシンの足跡を見つけたらやること
足跡はハクビシンの行動範囲内で見つかります。見つけたら次のことを行ってください。
1.被害状況のチェック
農作物が荒らされていないか
ハクビシンは柑橘類やとうもろこしなどの農作物を好んで食べます。畑でハクビシンの足跡を見つけたら農作物が荒らされていないか確認してください。
荒らされている場合、農作物をネットなどで保護するかハクビシンを駆除する必要があります。そのままにしておくと、エサを安定的に確保できる場所としてハクビシンが頻繁に訪れるようになる可能性があります。
ゴミ捨て場が荒らされていないか
ハクビシンは農作物を好んで食べますが、食性は雑食のためゴミ捨て場でエサを漁ることもあります。ゴミ捨て場に荒らされた形跡がないか確認してください。
荒らされている場合、ネットなどで覆って防除する必要があります。そのままにしておくと、その後も定期的にハクビシンが訪れるようになる可能性があります。
家や倉庫に侵入されていないか
ハクビシンは建物に侵入し、天井裏や壁の中をねぐらにすることがあります。家や倉庫に侵入されていないか確認してください。
屋根裏で走り回って騒音を立てたり、フン尿をしたり、繁殖したりとハクビシンの活動は建物にダメージを与えます。
2.対策・駆除
ハクビシンによる被害が確認できた場合は早急に対策をしてください。家の中に棲みつかれると自力での駆除が困難になることがあります。
また、被害はなく家の周辺で足跡を見つけただけの場合でも、今後家の中に侵入される可能性があります。今のうちに侵入対策をしておきましょう。以下の記事でハクビシン対策について解説しています。
すでにハクビシンが家の中に侵入されている場合は早急に駆除する必要があります。以下の記事でハクビシンの駆除方法について解説しています。
ハクビシンを足跡以外で見分ける方法
足跡以外の判断材料には、以下の3つがあります。足跡だけではわからない場合やより正確に見極めたい場合は、これらもあわせて確認してください。
- フン
- 鳴き声
- 被害の状況
以下の記事でそれぞれくわしく解説しています。