コウモリ被害の多くは、アブラコウモリ(イエコウモリ)によるものです。
コウモリは1センチほどのすき間からも侵入し、フン尿被害や騒音を引き起こします。繁殖力も高いため、何十匹にも膨れ上がってしまうケースも少なくありません。
次の5つの兆候の1つでも心当たりがある場合、早めの対策が必要です。
- 家の周辺でコウモリが飛んでいるのを見かける
- 外壁に見慣れない黒いシミがある
- 軒下やエアコン、換気扇の周辺に米粒大の乾燥した黒っぽいフンが落ちている
- 天井裏や壁の中から「カサカサ」「カリカリ」と音がする
- 夕暮れ時に「キーキー」「チチチチ」という鋭い鳴き声や羽音が聞こえる
コウモリは法律で保護されているため、家から追い出す形で駆除する必要があります。
この記事では、コウモリ駆除の基本知識や自力で安全に追い出す方法、難しい場合の対処法をわかりやすく解説します。
予備知識
コウモリの捕獲・殺傷は違法
コウモリは鳥獣保護管理法(鳥獣保護法)の対象動物であり、捕獲許可のない者による捕獲や殺傷が禁止されています。
違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられる可能性があります。一般家庭での駆除は、家から追い出して寄せ付けないようにする方法で行いましょう。
自治体の対応について
基本的に、役所や保健所の職員が自宅を訪問してコウモリを駆除してくれることはありません。ただし、自治体によっては次のような対応を行っている場合があります。
- 鳥獣被害の相談窓口の開設
- 害獣駆除業者の紹介
- コウモリ忌避装置の貸し出し
まずは自分の住んでいる自治体のホームページを確認してみましょう。役所ではおもに「自然保護課」や「鳥獣対策課」といった部署が窓口を担当しています。

例えば神戸市では「鳥獣相談ダイヤル」を設けていて、役所の開庁時間外でも被害防止策や注意点、駆除業者などを案内しているみたい。
死骸を見つけた場所によっては、役所が対応してくれる場合があります。
役所に連絡すると、道路の管理者などに対応を依頼してくれることがあります。
役所ではなく、害獣駆除業者に連絡する必要があります。

死骸は不衛生だから絶対に触らないでね!
コウモリ駆除に適したタイミング
コウモリ駆除に適した季節は、出産前の春(4〜6月)と冬眠前の秋(9〜10月)です。
| 時期 | コウモリの活動 | 駆除 |
|---|---|---|
| 春(4〜6月) | 出産準備 | |
| 夏(7〜8月) | 出産・子育て | |
| 秋(9〜10月) | 交尾 | |
| 冬(11〜3月) | 冬眠 |
駆除に適さない時期に侵入口をふさぐと、閉じ込められた幼獣や冬眠中のコウモリが巣の中で餓死する可能性があります。
巣に残された死骸がやがて腐敗すると、悪臭やカビ、雑菌や寄生虫の発生原因になります。また、死骸を食べようとしてネズミが侵入するなどの二次被害につながります。
意図せず閉じ込めて死なせてしまうと鳥獣保護法に抵触するおそれもあるため、夏や冬は害獣駆除業者に依頼することをおすすめします。
コウモリ駆除に適した時間帯は、エサを探しに外へ出て行く個体の多い日没後〜夜です。
コウモリは夜行性のため、昼間に追い出そうとしても家の中から出てこないことがあります。夕方以降、コウモリが家の外へ出ていくのを確認したら作業を始めましょう。
コウモリ駆除の注意点
駆除作業を安全かつ確実に行うために、次のポイントを必ず確認してください。
賃貸住宅・共同住宅では無断で駆除しない
賃貸住宅や共同住宅の場合、無断で駆除すると費用請求や他の住民とのトラブルになる可能性があります。必ず管理会社や大家に相談してください。
安全を確保する
子供やペットは必ず安全な場所に避難させてください。ハッカなど自然由来の薬剤であっても、体の小さい赤ちゃんや嗅覚が鋭い動物には強い刺激になる場合があります。
駆除作業はなるべく複数人で行いましょう。追い出し状況の確認やすき間のチェックを分担することで、安全性と精度が高まります。
高所や暗所での作業は、転落や見落としの危険があります。安全対策を十分に行い、危険を感じる場合は無理せず専門業者に依頼してください。
消毒剤は使用方法を守り、使用後は成分が残らないようよく拭き取り乾燥させてください。
次亜塩素酸ナトリウム液(塩素系漂白剤)は換気を徹底し、希釈したうえで単独で使ってください。酸性タイプの製品と混ざると有毒ガスが発生するため、併用は厳禁です。
また、アルコール消毒剤は密閉空間での大量噴霧や、電気系統付近では絶対に使わないでください。引火性が強いため非常に危険です。
幼獣・隠れ個体を取り残さない
季節によっては、幼獣や冬眠で隠れている個体がいる可能性があるため、取り残さないよう注意してください。自力駆除が難しい場合は専門業者に相談してください。
コウモリの代表的な侵入経路
コウモリは出入りする場所の近くにフンを落とすため、フンや黒いシミを手がかりに侵入経路を特定できます。
屋外
屋根・屋根周り

- 軒下・屋根のふち(破風板)
- 雨どい裏
- 瓦のズレ・屋根材の重なり
- ソーラーパネル周り
- 窓や雨戸のすき間
外壁・建物のすき間

- 外壁のひび割れ・コーキング劣化部分
- 窓や雨戸のすき間
- ベランダ下のすき間
- シャッターボックス内部
換気・配管・開口部

- 換気口・通気口周り(外部カバー含む)
- エアコン配管(貫通穴・室外機周り)
- 配線スペース
基礎・床下グループ

- 基礎と土台のすき間
- 床下空間
屋内
屋根裏・天井系グループ

- 屋根裏・小屋裏(点検口含む)
- 浴室の天井裏
- ダウンライト周辺のすき間
壁・構造内部グループ

- 壁・階段下のすき間
- 土壁の空洞
収納・空間グループ

- 押入れ天袋
- ロフト
設備・配管系グループ

- エアコン配管・本体周りのすき間
- 配線スペース
コウモリの巣になりやすい場所
フンが溜まっている場所や物音やにおいがある場所は、巣になっている可能性があります。巣穴に幼獣がいないかどうか確認してください。
屋外

- 軒下や屋根の破損部分
- 雨戸のすき間
- 窓まわり・外壁のすき間
屋内

- 天井裏(屋根裏・小屋裏)
- 壁のすき間
- 換気口・通気口まわり
- 配管まわり
- 床下空間
- 押入れ天袋・ロフト
コウモリ駆除に必要なもの
コウモリを自力で駆除する場合は、次のリストのアイテムを目安に用意してください。

必要なものは状況によって異なります。

状況にもよりますが、追い出しグッズは併用するとより確実に追い出せます。
狭い場所向け(換気扇・壁のすき間など)
換気扇や壁のすき間など、狭い場所にはコウモリ忌避スプレーが最も効果的です。コウモリが嫌う強力なハッカ臭で家から追い出します。
手作りのハッカ油スプレーは噴射距離が短く、効果も長く続きません。遠くまで噴射してより確実に追い出したい場合は、市販のコウモリスプレーを使いましょう。
- コウモリが嫌う強烈なハッカ臭
- 主成分は天然のハッカ油で高い安全性(殺傷能力なし)
- 無風状態で最大6メートル噴射できる強力ノズルで、薬剤を効率よく散布
- 容量は1本あたり20~30平方メートル分で、効果は約3~6時間持続
屋内の広い空間向け(床下・天井裏など)
スプレーでカバーしきれない床下や天井裏などの広い空間には、置き型のコウモリ忌避剤が効率的です。持続性に優れ、置いておくだけでコウモリの嫌がる匂いが長期間広がります。
点検口がない天井裏に設置する場合は、業者に依頼するのが現実的です。また、誤飲やいたずらのおそれがあるため、幼児やペットの手の届く場所への設置には向きません。
- 本体アルミシートを剥がしてから約2か月間効果が持続
- 天然成分で子供やペットがいる家庭も安心
- 本体アルミシートを剥がし、コウモリの飛来場所や侵入口に置くだけ
- 本体中身の忌避剤の小袋を取り出せば、狭いすき間にも設置できる
その他コウモリ駆除グッズを知りたい方は、こちらの比較記事をチェック!
コウモリやコウモリのフンは雑菌やダニの温床です。作業時は不織布の使い捨て防護服を着用してください。下には汚れてもいい長袖・長ズボンを着用します。
防護服は袖や足首にゴムが入っていて、「粉じん対応」表記のある製品が安心です。作業後は必ず廃棄してください。
頭が覆われている防護服を着用しない場合は、必ず帽子を被るかタオルを頭に巻くなどして雑菌やダニから肌や髪を保護してください。使い捨てを推奨します。
コウモリやコウモリのフンは非常に不衛生です。必ずゴム手袋を装着してください。
フンやほこりを吸い込まないよう、必ずマスクを用意してください。
フンが多い場所や換気の悪い場所では、密着性・粉じん捕集性能が高い防じんマスクがあると安心です。国家検定規格基準を満たしているものを選びましょう。
フンの微粒子やダストが目に入らないよう、保護メガネ(ゴーグルなど)があると安全です。
フンの清掃には、使い捨てできるほうきとちりとりがあると便利です。再利用する場合は使用後に消毒してください。
なお、掃除機は吸い込んだフンを周囲に飛散させるおそれがあるため、適しません。
コウモリの巣やフン尿があった場所は、消毒液をしみこませたぞうきんで拭き上げます。キッチンペーパーや新聞紙でも問題ありません。使用後は必ず処分してください。
フンはゴミ袋を二重にして入れて処分します。消臭タイプがおすすめです。
フン尿があった場所は、希釈した次亜塩素酸ナトリウム液(塩素系漂白剤)で消毒するのが基本です。広範囲の汚染にも対応し、幅広い菌やウイルスに効果を発揮します。
ただし、窓が小さく換気量が不足する場所や、入った空気が外へ抜けない場所では使えません。また、金属の腐食作用や木材の漂白作用があるため、このような場所には不向きです。
金属や木材、ドアノブやスイッチなど局所的な消毒に向いています。引火性があるため、密閉空間での大量噴霧や火気・電気系統付近では使えません。
安全性が高く、持続性があるのが特徴です。フンの汚れ(タンパク質)が残っていると効果が落ちるため、水拭きで汚れをきれいに落としてから使います。
細かいすき間をふさぐ場合
数ミリ~2センチのすき間を埋める際に使います。埋める場所の材質に対応した製品を用意してください。補修箇所に近い色を選ぶと目立ちにくくなります。
シーリングにはコーキングガンが必要です。グリップを握るとシーリング剤が出ます。
大きなすき間をふさぐ場合(エアコンの配管スペースなど)
エアコンの配管が通るスペースなど、シーリングでは難しい大きなすき間にはパテをちぎって埋めます。コウモリが嫌うトウガラシ成分が練り込まれている商品もあります。
通気が必要な場所をふさぐ場合(換気扇・通気口・戸袋など)
通気が必要な場所は、パンチングメタルという穴あき金属板をネジ止め(または接着剤で固定)するか、網戸張替え用ネットなどの金網を丸めてすき間に詰め込んで封鎖します。
パンチングメタルの方が強度や見た目は優れますが、コウモリは力が弱いため金網でも効果が期待できます。網目1センチ未満の、金切りバサミで加工しやすいものを選びましょう。
パンチングメタルや金網の切断には専用のハサミが必要です。
パンチングメタルの取り付けに使う工具は、壁の材質によって異なります。多くの場合はドリルドライバー(ドライバドリル)で対応できますが、一部専用工具が必要です。
以下の工具・資材も別途用意してください。

耐久性は落ちますが、コンクリートボンドでも簡易的に取り付けられます!
材質に合わせた工具・資材のくわしい選び方は、こちらの記事をチェック!
コウモリ駆除の手順
作業を始める前に、赤ちゃんやペットを安全な場所に避難させましょう。
防護服(作業服)に着替え、帽子、マスク、防じんメガネ、ゴム手袋を装着してください。作業中に脱いだり外したりしないでください。

コウモリは通り道や出入り口周辺にフンを落とす習性があるため、フンを手がかりに侵入経路を見つけます。
フンの近くにあるすき間や穴は、侵入経路の可能性があります。また、壁面などの黒いこすれ跡も出入り口のサインです。

次に、コウモリの巣を特定します。コウモリが好む、屋外とつながった雨風の当たらない暗所を重点的に確認しましょう。
フンが溜まっている場所や物音やにおいがある場所は、巣になっている可能性があります。巣穴に幼獣がいないかどうか確認してください。

夕方~夜の時間帯に巣や侵入経路周辺に忌避スプレーを噴射し、コウモリが外へ出ていくのを待ちます。
10分程度で動きがみられることもありますが、その場ですべての個体が出ていくとは限りません。時間を置いて複数回繰り返すことで、より確実に追い出すことができます。
コウモリが建物内に残っていないか確認するため、1~2日程度様子を見ます。新たなフンや物音の有無、夕方以降の出入りがないかチェックします。
巣が空に見えても、これらのサインが残っている場合は完全にはいなくなっていない可能性があります。

コウモリが完全にいなくなったことを確認したうえで、シーリング材や金網などで侵入経路をふさぎます。
忌避スプレーの効果時間にかかわらず、「実際に建物内にコウモリがいない状態」かどうかで判断し、作業を行ってください。
封鎖が不十分だと再侵入の原因になるため、わずかなすき間も残さないようにしてください。

最後に、ほうきとちりとりで巣や侵入経路周辺を掃除し、消毒剤を染み込ませたぞうきんで拭き上げます。
集めたフンはゴミ袋に二重にして入れ、自治体のルールに従って処分してください。各消毒剤の希釈方法は、以下を確認してください。
濃度0.05%以上になるよう水でうすめます。製品に濃度が表記されていない場合は、使用説明にしたがって希釈してください。
計量にはペットボトルのキャップが便利です。キャップの一番上のスクリュー線まで注ぐと約5ミリリットルになります。
使用の際は、必ず換気をしてゴム手袋を装着してください。
| 購入後1か月以内 | 水1Lに 10mL |
| 購入後3か月以内 | 水1Lに 15mL |
| 購入後3年以内 | 水1Lに 25mL |
| 購入後3年以上 | 濃度が大幅に低下している可能性があるため 買い直してください |

塩素系漂白剤と酸性タイプの消毒剤が混ざると有毒ガスが発生するよ。
絶対に併用しないでね!
逆性石けんは濃度10%の製品が一般的です。消毒の際は必ず水でうすめて使用します。
まずは、製品ラベルなどに「ベンザルコニウム塩化物 10w/v%水溶液」といった表記があることを確認してください。
「オスバンS」の場合は、付属キャップ(1杯5ミリリットル)を使って計量します。
ペットボトルのキャップで代用する場合は、一番上のスクリュー線まで注ぐと約5ミリリットルになります。
| 使用場所 | 希釈倍率 | 分量 |
|---|---|---|
| フン尿がある場所 (床・天井裏など) | 50倍 | 水1Lに 20mL (オスバンSの付属キャップ4杯) |
| コウモリが出入りする すき間や換気口など | 100倍 | 水1Lに 10mL (オスバンSの付属キャップ2杯) |
| 巣の可能性がある場所 (天井裏や壁のすき間) | 50倍 | 水1Lに 20mL (オスバンSの付属キャップ4杯) |
| コウモリが触れた可能性が ある物(窓枠・棚など) | 100倍 | 水1Lに 10mL (オスバンSの付属キャップ2杯) |
駆除後にチェックするポイント
コウモリは一度巣にした場所へ再び戻ってくる習性があります。次のポイントを定期的にチェックし、万が一再侵入されても早めに対処できるようにしましょう。
- ふさいだ場所にコウモリが戻ってきていないか
- コウモリのフンが地面や外壁、屋根に落ちていないか
- 日没時にコウモリが家から飛び立たなくなったか
コウモリの気配がなくなれば駆除完了です。

24時間換気の外部カバーの中にすみつくケースが年々増えています!
定期的に室内側から忌避スプレーを噴射しましょう。
自力駆除が難しい場合はプロへ依頼しよう
コウモリの自力駆除は簡単ではありません。家庭内でできるかぎりの対策をしても再侵入される可能性があります。最善の方法は専門の駆除業者に依頼することです。
また、フン尿で天井裏の床などが腐敗している場合は、抜け落ちるおそれがあり危険です。自力で対処しようとせず、害獣駆除のプロへ依頼してください。
コウモリ駆除業者の選び方はこちらの記事をチェック!








