家の天井裏やベランダで種の混じった山盛りの野生動物のフンを見つけたことはありませんか?もしかするとそれは、ハクビシンのためフンかもしれません。
ハクビシンによる最も深刻な被害の1つが、フン害です。ハクビシンのフン尿は悪臭、害虫の発生原因であり、放置すると天井が腐って抜け落ちる危険性があります。
この記事では、ハクビシンのフンの特徴と対策・処理方法について解説します。ハクビシンのフンを見極め、早めの対処で被害を食い止めましょう。
ハクビシンのフンの特徴
見た目
大きさは5~15センチで、丸みを帯びた細長い形をしています。
ハクビシンは雑食性のため、食べたものによってフンの色合いが変化します。一般的によく見られるのは黒褐色ですが、ベリーや桜の実などを多く食べた場合は、赤紫やピンク色になることもあります。
また、フンの中には果実の種子が混ざっていることも多くあります。



周辺で実をつけていた桜の木
ハクビシンのフンでは、まれに黒い人間の髪の毛のようなものが生えている場合があります。くわしいことは分かっていませんが、カビの一種と言われています。
におい
生臭さはありますが、においは弱めです。ハクビシンは果物を好むため、場合によっては甘いにおいがすることもあります。
ただし尿は強烈なアンモニア臭を放ち、フンと同じ場所でするため悪臭が発生します。
ためフンの習性
ハクビシンは同じ場所にフン尿をする習性があり、屋根裏やベランダなどの寝ぐらなど一か所にフンが山盛りになることからためフンと呼ばれています。
ただし、巣や寝ぐら以外の場所では必ずしもためフンであるとは限りません。
ハクビシンのフンが見つかりやすい場所
ベランダ
ベランダにハクビシンのえさとなるものがあるとフンをされる可能性があります。えさになりそうなものはなるべく置かないようにしましょう。
庭
ハクビシンは甘い果物や野菜が好物です。庭にかんきつ類の果樹がある、または家庭菜園をしているような場合は、食害に注意してください。
庭の近くに巣を作り、フンをする可能性があります。
天井裏(屋根裏)
ハクビシンは壁を垂直に登ってわずかなすき間から侵入し、天井裏などにフンをします。
本来は山林やほら穴をすみかにしていますが、近年住宅地にも出没し、似た環境である天井裏にすみつくケースが増えています。
屋根
ハクビシンは屋根の上から家屋に侵入してくることがあり、屋根にある雨どい付近でフンが見つかることもよくあります。
間違えやすい害獣のフンとの比較
ハクビシンのフンは他の害獣のフンとよく似ています。食べたものによっても見た目が変わるため、判別が難しいこともあります。
見分けるポイントとなる項目を間違えられやすい害獣別にまとめました。性別や個体によって差があるため、総合的に判断してください。
| ① 大きさ・形 | ② おもな内容物 | ③ ためフン習性 | |
|---|---|---|---|
![]() ハクビシン | 5〜15cm 細長く、丸みを帯びている | 果物の種子 | あり |
![]() アライグマ | 5〜20cm 泥状、または固形状 中~大型犬のフンに似ている | 動物の骨 虫の身体の一部 種子など | なし |
![]() タヌキ | 2〜3cmのフン同士がくっつき、 5cm以上になっている 丸みを帯びている | 果物の種子 虫の身体の一部など | あり |
![]() クマネズミ | 1~2cm 米粒状、両端がやや尖っている | 肉眼ではほぼ見えない | なし |
![]() イタチ | 5〜6cm 細長く、先がねじれている 水分が多くしっとり | 体毛 果物の種子など | なし |
![]() テン | 約10cm 太くて長い 水分が多くしっとり | 果物の種子 木の実 体毛など | あり(大量) |

イタチのフンは非常に強い悪臭を放ちます。
近くで野生動物や野生動物の足あと、食害の痕跡を見つけた場合は、より正確に判断できます。
見つかった場所も判断材料になります。
天井裏:ハクビシン、アライグマ、テン、イタチ
キッチンや壁の中:クマネズミ
庭でためフン:タヌキ
ハクビシンの見た目や痕跡の特徴の記事はこちら
ハクビシンのフン尿がもたらす被害
天井のシミ
ハクビシンは同じ場所にフンと尿を一緒にする習性があるため、天井裏にフン尿が溜まるとシミができます。最悪の場合、天井の木板が腐って抜け落ちる危険性があります。
「天井のシミがだんだん広がっている」「シミのまわりがブヨブヨしている」という場合は、すでに被害が深刻な証拠です。早急に駆除業者へ相談してください。
悪臭
ハクビシンのフン尿を放っておくと雑菌やカビが繁殖して床板を侵食し、悪臭を放つようになります。
部屋の中でにおいを感じた時には、すでに天井裏はフン尿だらけになっている可能性があります。雑菌が繁殖しやすい梅雨から夏にかけての時期は、とくに早めの対処が必要です。
害虫の発生
野生動物であるハクビシンのフンにはダニやノミが含まれており、放置すると人を吸血するために室内へ拡散・繁殖します。
ダニに刺されるとかゆみだけでなく、喘息やアトピー性皮膚炎を引き起こすおそれがあります。子どものいる家庭は特に注意が必要です。
また、ハエやゴキブリの発生源になったり、フンにウジ虫がわいたりすることもあります。
感染症の危険性
動物から人、人から動物へうつる感染症を人獣共通感染症(ズーノーシス)と言います。
ハクビシンとの接触や引っかき傷、フンによって以下のような人獣共通感染症を引き起こすおそれがあります。
| 接触感染する疾病 | 疥癬、皮膚糸状菌症、ツツガムシ病、レプトスピラ症 など |
| 経口感染する疾病 | サルモネラ菌食中毒、カンピロバクター食中毒、エルシニア食中毒、トキソプラズマ症、E型肝炎 など |
| ペットへの感染のおそれがある疾病 | ジステンパー、パルボウイルス感染症、アデノウイルス感染症 など |
| 今後発生を注意すべき疾病 | 狂犬病、エキノコックス症、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、SARS(重症急性呼吸器症候群) など |

2002年に中国広東省で発生したSARSの感染源としてハクビシンが疑われましたが、現在はキクガシラコウモリが自然宿主だと考えられています。
ハクビシンのフンの処理方法
天井裏のフン尿を長期間放置し腐食している場合は、必ず駆除業者に依頼してください。
用意するもの
次のリストのアイテムを目安に用意してください。必要なものは状況によって異なります。
ハクビシンやハクビシンのフンは雑菌やダニの温床です。肌に触れないよう、穴や破れのない汚れてもいい長袖、長ズボンを必ず用意してください。
軽装で作業後に廃棄できるものを選びましょう。使い捨ての防護服が便利です。
頭が覆われている防護服を着用しない場合は、必ず帽子を被るかタオルを頭に巻くなどして雑菌やダニから肌や髪を保護してください。使い捨てを推奨します。
ハクビシンのフンは非常に不衛生です。直接触れないよう、ゴム手袋を装着してください。
フンやほこりを吸い込まないよう、必ずマスクを用意してください。
フンが多い場所や換気の悪い場所では、密着性・粉じん捕集性能が高い防じんマスクがあると安心です。国家検定規格基準を満たしているものを選びましょう。
フンの微粒子やダストが目に入らないよう、保護メガネ(ゴーグルなど)があると安全です。
フンの清掃には、使い捨てできるほうきとちりとりがあると便利です。再利用する場合は使用後に消毒してください。
なお、掃除機は吸い込んだフンを周囲に飛散させるおそれがあるため、適しません。
フン尿があった場所は、消毒液をしみこませたぞうきんで拭き上げます。キッチンペーパーや新聞紙でも問題ありません。使用後は必ず処分してください。
集めたフンはゴミ袋に二重にして入れて処分します。消臭タイプがおすすめです。
フン尿があった場所は、希釈した次亜塩素酸ナトリウム液(塩素系漂白剤)で消毒するのが基本です。広範囲の汚染にも対応し、幅広い菌やウイルスに効果を発揮します。
ただし、窓が小さく換気量が不足する場所や、入った空気が外へ抜けない場所では使えません。また、金属の腐食作用や木材の漂白作用があるため、このような場所には不向きです。
金属や木材、ドアノブやスイッチなど局所的な消毒に向いています。引火性があるため、密閉空間での大量噴霧や火気・電気系統付近では使えません。
塩素系漂白剤が使えない広範囲の消毒に便利です。高い安全性と持続性が特徴です。フンの汚れが残っていると効果が落ちるため、水拭きしてから使います。
手順

フンに直接触れたり吸い込んだりしないよう、帽子、ゴム手袋、マスク、ゴーグルも装着します。
手順1〜4の全工程が終わるまで外さないでください。

ほうきとちりとりを使ってフンを集めます。
少しでもフンが残ると消毒剤の効果が落ちるため、確実に取り除きます。
掃除機は吸い込んだフンが排気となって舞い上がるおそれがあるため、絶対に使わないでください。
集めたフンをゴミ袋に二重にして入れ、自治体のルールに従って処分します。

十分に換気し、フンのあった場所を次亜塩素酸ナトリウム液、または材質に合った消毒剤で拭き上げます。
※次亜塩素酸ナトリウム液と逆性石けんは希釈してください。

濃度0.05%以上になるよう水でうすめます。濃度の表記がない製品は、使用説明にしたがって希釈してください。
ペットボトルキャップすりきり1杯で約5ミリリットルになります。
酸性タイプと混ざると有毒ガスが発生するため、併用厳禁です!
| 購入後1か月以内 | 水1Lに 10mL |
| 購入後 1〜3か月 | 水1Lに 15mL |
| 購入後 3か月〜3年 | 水1Lに 25mL |
| 購入後3年以上 | 濃度が大幅低下している可能性があるため、 買い直してください |

逆性石けんは濃度10%の製品が一般的です。「ベンザルコニウム塩化物 10w/v%水溶液」といった表記があるか確認してください。
「オスバンS」は付属キャップ(1杯5ミリリットル)で計量します。
普通の石けんや洗剤と混ざると効果がなくなるため、しっかり水拭きしてから使ってください。
| フン尿被害があった場所 (床・天井裏など) | 水1Lに 20mL(オスバンSの付属キャップ4杯) |
| コウモリの出入り口 (換気口・軒下など) | 水1Lに 20mL(オスバンSの付属キャップ4杯) |
| コウモリが触れた可能性のある場所 (窓枠・ベランダの手すりなど) | 水1Lに 10mL(オスバンSの付属キャップ2杯) |

これですべての手順が完了です。
作業着や使った道具は、必ず洗うか処分してください。
ハクビシンのフン対策
ハクビシンの一番のフン対策は、ハクビシンを寄せ付けず、侵入させないことです。次の①〜③を徹底しましょう。
① 足場やエサになるものを置かない
庭やベランダにあるハクビシンの足場になりそうな物は片付け、生ゴミは放置しないようにしましょう。
② 侵入経路を特定して封鎖する
ハクビシンの侵入経路を特定し、パンチングメタルなどの金属製の資材で封鎖しましょう。必ずハクビシンが潜んでいないことを確認してから封鎖してください。
庭を囲うフェンスでハクビシンの侵入を防ぐことは困難です。
ハクビシンは1メートル以上垂直にジャンプし、簡単によじ登ります。
③ 忌避グッズを活用する

いずれも補助的な対策のため、侵入口の封鎖と併用しましょう。
ハクビシンは木酢液や竹酢液のにおいを嫌うため、侵入口やハクビシンが通りそうな場所の周辺に置くと効果が期待できます。
ハクビシンはオオカミの尿のにおいも嫌うため、オオカミ尿の成分入りの「ウルフピー」は効果的です。
夜行性のハクビシンには、青色LEDストロボが効果を発揮する場合があります。家の周辺に複数設置すると、寄り付きにくくなる効果が期待できます。
難しいフン処理はプロへ依頼しよう
家庭でできる限りの対策をしても、ハクビシンが再び侵入してくる可能性があります。
「フンだけが残っていて、ハクビシンの姿は見当たらない」という場合でも、害獣駆除のプロならフンの処理や消毒、侵入口の封鎖までまとめて対応してくれます。
また、フン尿で天井裏が傷んでいる場合は自分で処理しようとせず、害獣駆除のプロへ依頼してください。
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